九州看護福祉大学の不正を正す会
読者からの投稿(2)
O氏の投稿 (投稿日:2020年1月16日)
本学の教員です。本学の要職にあるP教授の有する「博士学位」が、「真正なものか否か」について、報道機関に属する記者(1人)から先日問い合わせがありました。

通報者から提供された情報では、P教授が有するとされる学位に重大な疑義が存在することから、本件に関して2020年1月5日、「学校法人熊本城北学園における公益通報に関する規程」第2条、第3条に基づいて、本学学長、常務理事ら3名に通報を行いました。

大学はこの件についてすみやかに調査を実施し、その結果の開示と適切な措置を行うよう求めました。しかしながら、本通報に対する回答期限とした1月10日を経過した1月16日現在もなお、大学側からは何の返答もありませんでした。志賀潔学長には、本学規定に基づいた公益通報に対して対応する責任がありますが、その責任を果たしていません。

以下、公益通報として大学学長ら3名に求めた文書をそのまま記します。

※ なおここではP教授という仮名で表記されている箇所(その他個人情報の箇所〇〇..)はすべて「実名」により通報が行われました。

=============================================

【公益通報】

本学のP教授の有する「博士学位」が、「真正なものか否か」について、報道機関に属する記者(1人)から、本学関係者(教員)に対する問い合わせがあった。通報者から提供された情報により、重大な疑義が存在することから、本件に関して大学として調査し、その結果を開示することをはじめ、適切な措置 を行うべきである。 以下、記者からの問い合わせ内容をもとに、事実関係を列挙する。

以下、記者からの問い合わせ内容をもとに、事実関係を列挙する。


【1】 P教授は「医学博士」となっている。

経済雑誌「〇〇」2014 年 〇月発行 No.〇 には、次のとおりの記載がある。
P教授は〇年〇月生まれ、〇歳。〇〇大学大学院博士課程社会学研究科前期修了。医学博士。〇年〇大学助手、〇〇年九州看護福祉大学看護福祉学部〇学科助教授、〇年同大同学部同学科教授などを歴任。

なお、P教授が新聞記者らに配布した名刺にも「医学博士」という記載がある。P教授はフェイクの自己宣伝を、長年にわたり繰り返してきた疑いがある。


【2】 P教授は、「博士学位」を、HP上では公表してない。

P教授は、大学 HP の自己紹介欄には、長年に亘り、博士学位に関して現在表記していない。なお、学位の表記義務としては、文科省の次の規則がある。

■学位規則(昭和二十八年四月一日文部省令第九号)(抜粋)
(学位の名称) 第十一条 学位を授与された者は、学位の名称を用いるときは、当該学位を授与した大学又は独立行政法人大学改革支援・学位授与機構の名称を付記するものとする。文科省の学位規則では、取得大学と専門分野名を以下のように表記しなければならないことになっている。(以下、省略)

上記のとおり、学位名、取得大学、専門分野の三項目に関しては、表記が義務付けられている。少なくとも、(結果として)それが分かるような表記が指示されている。
しかしP教授は、上記の通り、大学HPの自己紹介欄には、博士学位を現在表記していない。


【3】 P教授は、日本で医学博士の学位を取得していない。

上記の事実は、国立国会図書館の NDL の博士論文検索から確認できる。

    国立国会図書館 博士論文検索

    
上記サイトに情報を入力、検索した場合、該当者はゼロとなっている。このことから、P教授の学位は「日本国外の学位」ということが理解される。仮にP教授の学位が「日本国外の大学から授与された真正なもの」であるならば、P教授は、〇長としてはもちろん、そもそも文部科学省の指示に従い、学位に関する開示の義務を負っている。しかし、それを行っていない以上、外部の報道機関から疑義が指摘されるのは、当然のことである。なお、疑惑が生じた最大の理由は、下記の事由によるものである。


【4】 論文博士制度は、日本にしかない学位授与制度である。

仮にP教授の学位が、本学着任以降に取得されたとする「海外で授与された真正なそれ」である場合、P教授は最低でも数年間に亘り、学生ビザを有して、当該国に渡航する必要がある。何故なら、海外の大学で博士学位を取得する場合、コースワークが必須とされているからである。まして、医学博士であれば、長期間のコースワークが必須になることから、短期間の留学で、正規の医学博士号が授与されることはない。しかし、P教授が 〇〇 年に本学に着任以降、長期間に亘り、特定国の特定大学に、学生ビザを用いて渡航した事実は確認されていない。唯一の例外的なルートは、日本の「論文博士」制度である。しかし、コースワークを要しない、論文だけによる審査で、博士学位授与の可否を決める同制度は、わが国にしか存在しない教育システムである。ところが前記のとおり、P教授は、日本で学位を取得していない。よって、この段階で、P教授の学位の信憑性は大きく揺らぐ。


【5】 学位の信憑性に関しては、2007 年に(いわゆる)非認定大学による学位調査が、文科省により行われている。

2007 年 12 月 27 日の読売新聞には、次の記事がある。


■採用・昇進にニセ学位、全国で大学教員48人が利用(2007 年 12 月 27 日 読売新聞)
大学を名乗る海外の団体から授与された博士号などのニセの学位を、大学の採用や昇進の際に利用した大学教員が全国で48人に上ることが27日、文部科学省の調査でわかった。同省では、「大学の信頼低下につながる」として、各大学に厳正な対応を求めた。
調査は、国公私立すべての大学を対象に、今年7〜9月に実施。アメリカ、中国、イギリス、オーストラリアに所在地を設定しているが、それぞれの国から大学と認定されていない団体から授与された“学位”の実態について調べた。その結果、こうしたニセ学位を、採用や昇進の際の審査書類に書いていた大学教員は43校48人(国立は7校8人)。このうち、ニセ学位を持っていることが直接的な判断材料となり採用・昇進につながった教員も4校4人いた。多くは、大学の冊子やホームページにニセ学位を記載していた。


上記記事のとおり、2007 年当時、文部科学省により、調査対象になった大学は、『アメリカ、中国、イギリス、オーストラリアに所在地を設定している』大学である。これに対して、P教授の主たる研究領域は、タイを中心とした東南アジアである。そして同エリアの大学は、当時の文部科学省の調査対象から外れている。それは、仮にP教授の学位が真正なものでない場合、同氏が「難を逃れる」事由として作用したことは論を待たない。


【6】 東南アジアの大学でも、学位販売ビジネスが横行している。

上記の通り、アメリカ、中国、イギリス、オーストラリアでは、正規の大学ではない大学が、学位を販売する大規模ビジネスが存在する。そして、これも上記の通り、P教授は、年単位で留学をすることもなく、医学博士になっている。ここまでの内容から、P教授の学位が「真正の学位」である場合、合理的説明がきわめて困難である。
そうした現状を踏まえ、B国の学位授与について調べてみると、下記の情報が出てくる。なお、同記事は、B国の日本人コミュニティで、よく読まれている週刊ジャーナルの一つである。

   B国では学位がお金で買える
  

なお、同様の報道は、他の東南アジア諸国でも認められた。仮にP教授の学位が「真正でない」場合、P教授は、こうしたフェイク学位を取得した可能性が高いといえよう。もしくは(P教授が関係のある大学から)名誉博士を取得したのではないか、とも推察される。しかし、名誉博士は「学位ではなく、勲章的な位置づけ」である。実際、名誉博士が学歴に該当しないことは周知の事実である。たとえば、創価学会の池田大作は、短大卒だが、名誉博士は200以上ある。しかし彼の学歴は博士ではなく、短大卒である。

なお、フェイク大学による学位の場合は、いわゆるアクレディテーション制度に該当しない非認定大学として、文科省は 12 年以上も前に「認めない」との通知を出している。それ故、既述の2007年の調査が実施されたわけである。なお、当該調査によって、不正学位が発覚した大学教員で、辞職、解雇された者は、当時、少なくなかった。


【7】 認定機関の妥当性について

今回のP教授の学位を調査するにあたり、非認定大学が発行した学位の「認定」について、外部報道機関の某記者は、認定機関の妥当性についても調べたとのことである。それについて分かる範囲のことを記載すれば、Fake(偽物) university は、Fake を「正当化」するため、Fake 大学同士で「(大学)相互認定機関」を作り、偽物を本物「化」させているという。もちろん、そうしたカラクリを知っている人は、正規の認定機関に認定された大学の学位か否かを調べる。しかしこうした制度は、日本にはないシステムである以上、制度に明るくない人であれば、簡単に騙さることになる。何故なら日本では、相互認証システムはなく、文科省が設置を認められた段階で、全て正規の大学になるからである。
さらに、次の海外サイトが参考になる。


   フェイク学位
   
…Aany students think that because their school has accreditation, their school is a genuine institution of higher learning. What they don’t realizeis there are Aore than 40 fake accreditation agencies giving bogus accreditations to dishonest schools.

現在では 40 もの偽りの大学認定機関があるとのこと。こうして、海外の大学および学位認定制度を知らない日本の大学関係者は、フェイク学位に騙されることになる。
なお、BC国を含む東南アジアでは、当時も今も(フェイク大学は)相当規模のビジネス産業である。


【8】有識者の評価について

P教授が本学に着任する際に、そのサポート役になった、当時の山形大学教授は、P教授の学位記を評して、文部科学省との関係では通用しない学位であると評している。


【9】 結論

仮にP教授の学位が不正なものである場合、同氏は相応の懲戒処分を免れることはできない。少なくとも、名刺には「医学博士」を記載して、WEB には「掲載しない」矛盾も外部から指摘されている以上、本件に関しては、外部報道機関による指摘を待つのではなく、自浄作用を働かせるべきである。
仮にP教授の学位が正規のものであるのなら、それはそれで正々堂々、HPに記載すべきである。文部科学省は、そうする義務があると明記している。
なお、報道機関の某記者から問い合わせのメールを受けたことから、この公益通報を行ったが、何もせずに、このまま放置すれば、それこそ、大学による『組織的隠ぺい』という解釈をされても文句は言えない状況になる。
法人としての姿勢を(将来的な記事の中で)批判されないようにするためにも、適切な対応が求められる。仮に、そうした対応を怠った結果、本学に不利益な記事が出回れば、それは大学の信憑性の低下とともに、時期的に、学生募集にも影響を及ぼす。
そうしたことがないように、内々にでも処分を出すか、P教授の学位が「白」であることを立証し、P教授の名誉回復を図るか、いずれかをなすべきである。


【10】 付記

公益通報に対する大学側の回答として、次のものを求める。

1 調査委員会の設置
2020年1月10日17時までに、最低でも調査委員会の設置の有無に関しては、期限内の回答を求める。その際、当該期日までは、問い合わせた報道関係者には、報道を待つよう、通報者より説得をおこなう。

2 P教授からの学位記のコピー、単位取得証明書のコピー、博士論文のコピー等の提供。

3 海外の学位である場合、その学位取得のための海外渡航歴を記載したものの提出。単位取得証明書に記載されている単位取得年度時に「渡航歴」がなければ、学位記はあっても、それはフェイク大学によるフェイク学位の可能性が極めて高い。

4 上記期日までに、本通報に対する一定の回答を、本メールアドレス宛に求める。
期日を過ぎても回答がなされなかった場合、「公益通報にたいして、大学は無回答であった」と報道された際は、大学運営にかかわる上層部にたいして相応の責任を求めることになる。

以上。




*上記P教授については、2020年4月から大学内の主要な役職に就かないことを自ら公言しているが、
 その理由については言及していない。






準備中
準備中
準備中
準備中
準備中
準備中