第31回みらい学講座「ストレスとうまくつき合おう」 
一般社団法人 教育総合サポートみらい
講師
 西本由美(臨床心理士・兵庫県スクールカウンセラー)
ストレスとは
 心理学では、ストレスを「ストレッサー」と「ストレス反応」という2つの側面から分析する。人間の身体は“適度な”ストレスのもとでもっとも活性化する。
 
@ ストレッサー 物理的刺激(音・光・温度など)・対人関係(親・友人・同僚など)・出来事(就職・結婚・転勤など)
A ストレス反応 行動の変化(多動・暴力・自傷など)・身体の変化(不眠・頭痛・腹痛・発汗など)・気持ち(イライラ・焦り・落ち込みなど)

ストレスを避けて生きることはできない。ストレスとうまくつき合う力は“現在を生き抜く力”
 CHECKしてみよう

ストレス反応表出にいたる個人差
 認知的評価とコーピング(対処行動)によって、強いストレス反応を示す場合もあれば、弱いストレス反応を示す場合もある。
 非常に脅威だと感じ、乗り越えられないと評価すれば、強いストレス反応を表出することになり、問題から逃げたりあきらめたりして回避的コーピングをとれば、弱いストレス反応を表出することになる。
ストレスへの対処法
 気持ちへの対処:リラックス・音楽を聴く・歌を歌う・スポーツをするなど
 問題そのものへの対処:話し合う・謝る・日記を書くなど
 ソーシャルサポート:誰かの相談する・手伝ってもらうなど
 気持ち押し込め対処:イライラを我慢・TVゲームなど
 傷つけ発散対処:モノや人に当たるなど

具体的な対処法


10秒呼吸法
 @ 椅子の背にもたれ、ゆったりした姿勢で腰掛ける。
 A 目を軽く閉じる。
 B 1~10を自分のタイミングで数えながらゆっくり深呼吸する。
10秒呼吸法のあと、動くときは「すっきり動作」

漸進性筋弛緩法
 力を抜いた状態でリラックスし、全身の力が抜けているのを味わう。

マインドフルネス(今ここに集中)
 今の瞬間や体験に注意を向けることで得られる新しい気づき。
 “今ここ”の体験に注意し、判断したり評価したりすることなく、ただ観たり受け止めたりすること。

マインドフルネスのワーク例(呼吸)

《文責》法人事務局


ストレッサーとストレス反応
 ストレッサーとは「ストレスの原因となる出来事や状況」であり、ストレス反応とは「ストレスによって引き起こされる心や体、行動の変化」を意味する。
「認知的評価」と「コーピング」
 「認知的評価」とは、ストレスの原因となっているストレッサーの影響力の強さや、それに対してどの程度コントロールすることができるかについて評価すること。「コーピング」とは、「対処行動」と訳され、出来事に対する対処の仕方を意味する。このふたつにより、実際のストレスへの対応の強弱は個人によって異なる。
アメリカ合衆国心理学会が勧める5つのストレス対策
@ ストレスの原因を避ける
 ストレスから離れる。20分くらいでも良い。
A 運動
 息が弾む程度の有酸素運動を継続する。
B 笑う
 声に出して笑う。笑顔になる。
C サポートを得る
 家族や友人、専門家に相談する。
D マインドフルネス
 短い瞑想でも効果的。