代表理事 から皆さまへ
このたび、私たちは社団法人「動物行政市民オンブズマン」を設立いたしました。
近年、「殺処分ゼロ」に向けた官民協働の取り組みは大きく前進し、譲渡の推進や動物愛護意識の向上など、
多くの成果が積み重ねられてきました。
これらは関係者の不断の努力の賜物であり、社会全体として高く評価されるべきものです。
しかし一方で、その運用においては私たちが目を向けるべき課題もいくつか指摘されています。
とりわけ、引き取り対応のあり方や、その結果として救済に届かず放置される動物の存在、
そして譲渡の枠組みからこぼれ落ちた犬猫の収容状況については、十分に可視化・共有されているとは言えません。
動物愛護管理法の改正以降、終生飼養の原則に基づき、行政による引き取りには一定の制限が設けられました。
これは安易な飼育放棄を防ぐための重要な制度です。
しかしその一方で、運用によっては、相談者が適切な支援につながらず、結果として動物が適正な管理の外に置かれる可能性についても、制度として検証していく必要があります。
また、譲渡の推進が進む中で、譲渡に適さないと判断された個体や、譲渡に至らない犬猫の存在についても十分に議論されているとは言い難い状況です。
こうした動物たちが、行政施設や民間団体において長期的に収容されている実態については殆ど可視化されておらず、動物福祉の観点からも検証が求められます。
私たちは、「殺処分ゼロ」という理念そのものを否定するのではなく、その実現過程において、すべての動物の福祉が適切に担保されているかを見つめ直すことが重要であると考えています。
動物行政は、社会における動物福祉の基準を示す役割を担っており、だからこそ、行政には率先して高い水準の福祉を実現し、その在り方を社会に示していくことが求められます。
当法人は、行政、市民、関係団体それぞれの立場を尊重しながら、現場の実態を客観的に把握し、情報の可視化と建設的な対話を通じて、制度の改善と動物福祉の向上に資する活動を行ってまいります。
今後とも、皆様のご理解とご協力を賜りますよう、心よりお願い申し上げます。
社団法人 動物行政市民オンブズマン
代表理事 多田和恵